トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』は一般に自然法や国家論について述べられた本だと認知されているが、その実、かなり射程の広い本だ。その理由は、彼もまたデカルトと同様に合理主義哲学者であり、国家とは何かということを考えるための出発点は人間の本性(と聖書)にしか根拠を置かなかったからだ。ゆえにこの本の第一部は『人間について』である。 い...| 余白